バイオテック奮闘記

アメリカのバイオテック会社での経験や、アカデミックから製薬業界への転職に役立つ情報を紹介します。

力関係

今日のボスとテクニシャンのやり取り。

ボス「週末は誰かがマウスに投薬しに来ないといけない」。テクニシャン無言。ボス「どうしようか」。テクニシャン答えない、携帯をいじり出す。ボス「うーん。明日また話しましょう」。

そばで聞いていた僕は戦慄を覚えた。僕はまだ一人で仕事ができないので、ボスはテクニシャンに投薬を頼んでいる状況だと思う。でも週末だからといって残業代はないし、ボスは優しい性格なので強くはお願いできないのだろう。テクニシャンも今まで接した限り悪い人間ではない。文化的にも、自ら進んで不利益を被ろうとは思わないのだろう。ボスが来て投薬することだってできる。ただ携帯をいじり出したのには驚いた。もしかしたらこのようなやり取りが前にもあったのかもしれない。何だかうんざりしているように見えた。実はちょうどもう一人の研究員が休暇を取っているため、テクニシャンの負担はおそらく増えている。張り詰める緊張に耐え切れず、何度も「僕が行きます」と言いそうになった。

おそらく今後は週末の投薬は持ち回りで分担するのではないか。アカデミックと違って、週末働いてもそれは自分のプロジェクトではない。例えば自分ばかりが週末を犠牲にすれば不公平だし、自分はよくても家族の理解は得られないだろう。